https://www.shanon.co.jp/blog/entry/marketing_dx1/
組織を巻き込み、スピーディーにはじめる。「マーケティングDX」に必要な施策の整理とは
組織を巻き込み、スピーディーにはじめる。「マーケティングDX」に必要な施策の整理とは急速な社会のデジタル化にともない、企業にとってDXが不可欠となっています。マーケティングの世界では、デジタル化に加えて「顧客行動の変化・多様化」への対応も迫られていて、BtoB、BtoCを問わず「マーケティングDX」が急務です。本記事ではシャノンが提案するマーケティングDXをとりあげます。今回は【前編】として、マーケティングDXの定義、推進するメリットなどを確認したあと、マーケティングDXの進め方について解説。企業事例も紹介します。目次ToggleマーケティングDXの定義と、必要とされる背景マーケティングDXとはなぜマーケティングDXが必要なのかマーケティングDXを推進するメリットマーケティングDXの進め方【フェーズ1】課題を明確にして、組織を巻き込む【フェーズ2】顧客情報の一元管理により、マーケティングDXの基盤をつくる【フェーズ3】顧客体験の構築を実践するマーケティングDXで成果を上げた企業事例まとめ本稿のポイントは以下の3点です。関連資料マーケティングDXの定義と、必要とされる背景マーケティングDXとは何か、なぜ今必要とされているのかを解説します。マーケティングDXとはマーケティングDXを知るために、まず、DXとは何かを確認しましょう。DXとは経済産業省の定義によれば「データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」です。かなりくわしい定義となっていますが、少し短くすると、「デジタル技術により企業を変革し、企業価値を高めること」といえます。DXについては「DXとは何かをわかりやすく解説!今、企業はDXをどう進めている?」でくわしく紹介しているので参照してください。DXの定義をふまえ、マーケティングDXについてシャノンでは購買行動の変化に対応するために、顧客情報をデジタルで一元管理し、自社のマーケティング・プロセスを変革する。その上で最適な顧客体験を構築し、競争上の優位性を確立することと定義しています。なぜマーケティングDXが必要なのかマーケティングDXがなぜ今、必要とされているのでしょうか。その背景を理解することが重要です。ポイントは以下の3点です。購買行動の変化顧客接点の増加顧客情報の環境の変化これらについて、BtoBを例にとって説明していきますが、BtoCでもほぼ同じ状況です。購買行動の変化ネットとマルチデバイスの普及により、顧客企業は購買行動を起こす前に自分で情報を集めて検討することが可能になりました。昔は購買を検討するときにまず、顧客が企業の営業担当者に会って話をきくことから始まっていましたが、今は自分で調べるので、購入検討者が営業担当者に接触を持つ段階では、意思決定の60%近くが完了しているといわれます。つまり、顧客が自分で調べている期間に効果的にアプローチするマーケティングが、昔よりも重要となっています。顧客接点の増加顧客との接点は、増加する一方です。インターネットを通じての顧客との接点は、Web、メール、SNS、動画、ウェビナーなど多様化しています。また、コロナ禍を経て、セミナーやリアルイベントなどのメリットが見直されてアナログな接点も再び増えてきています。今後のマーケティング戦略はデジタルとアナログを併用して、ますます多様なチャネルで展開していく傾向です。顧客情報の環境の変化世界的に顧客情報保護が重視されるようになり、サードパーティクッキー規制、ITP(IntelligentTrackingPrevention、Appleのブラウザ「Safari」のトラッキング防止機能)、GDPR(GeneralDataProtectionRegulation、EU一般データ保護規則)などが進行しています。これらにより、ユーザー自身が同意していないデータの活用は規制されます。今後は、「同意を得られた顧客情報」を適切に収集・活用していくことが重要です。これらの急速な変化に対応するため、マーケティングDXにおいては、デジタルを駆使したマーケティング・プロセスの変革と、最適な顧客体験を提供できるマーケティングチームの構築が求められています。マーケティングDXを推進するメリットマーケティングDXを推進するにはデジタル関連の投資、人材育成などのコストがかかります。しかし、推進することにより、企業にとって以下のようなメリットがあります。企業競争力の強化マーケティングをデジタル化・効率化することにより、顧客情報の高度な活用、施策の改善サイクルの短縮などが可能になります。マーケティング部門の強化は企業競争力の強化・生産性向上につながります。マーケターとチームのスキル向上多くの作業や施策をデジタル化することにより、マーケティング部門の担当者はマーケティング戦略の構築という本来の業務に集中できます。マーケティングDXの推進により、マーケターのスキルアップが可能になり、マーケティングチームも強化できます。企業DX推進への寄与マーケティング部門のデータを営業部門や商品開発部門に連携したり、マーケティングDXの経験を他部門のDXに横展開したりすることが可能です。マーケティングDXを足掛かりに企業全体のDXを加速化することができます。マーケティングDXの進め方マーケティングDXは以下のような手順で進めます。まず顧客情報をデジタルで一元管理し、その後最適な顧客体験を構築していく流れです。【フェーズ1】課題を明確にして、組織を巻き込む【フェーズ2】顧客情報の一元管理により、マーケティングDXの基盤をつくる【フェーズ3】顧客体験の構築各フェーズについて解説していきます。【フェーズ1】課題を明確にして、組織を巻き込むマーケティングDXを始めるにあたり、現状の課題を整理するとともに、今後目指したいマーケティングの全体像を明確にします。関係者が理解しやすく意識共有しやすいよう、施策を整理した図を用意することが有効です。以下はBtoBマーケティング施策の構築例です。上の図は、マーケティングDXを推進していくときの全体像を表しています。右側に「認知」「興味・関心」「比較・検討」「商談」の4つのステップからなる購買ピラミッド、その左側に「集客」「獲得」「引き上げ」という、3つのカテゴリーの枠があります。「購買ピラミッド」を基にしたマーケティングDXの具体策については【後編】の記事で解説します。【フェーズ2】顧客情報の一元管理により、マーケティングDXの基盤をつくるマーケティングDXを進める上でまず必要となる作業が、顧客情報の一元化です。企業が保有する顧客や見込み客のデータは貴重な資産ですが、データが整備されていないと十分に活用することができません。顧客情報を一元管理するポイントとして以下があります。データクレンジングデータを整備するポイントの例として、以下があります。データクレンジングに問題はないかを確認しましょう。デジタルとアナログで収集した顧客情報が一元化されている適切な名寄せがされている部門間でデータベースが統一されているデータが最新であるデータクレンジングについてくわしくは、「データクレンジングとは?マーケティング施策成功のために欠かせないデータクレンジングの手順」で解説しています。企業情報の追加「ひと」単位になっている顧客情報を「企業」ごとにまとめ、さらに新規顧客か既存顧客かを明確にしてデータを管理します。管理項目の追加たとえば以下の図のように、顧客が商材A・B・Cのうちどれに興味があるかのフラグを付与することにより、商材を特定したマーケティング戦略に活かすことができます。また、部長以上の役職にフラグを立てることで、決裁権者向けのマーケティング施策に活用できます。履歴の一元化「資料ダウンロード」「メルマガ開封」「Webページへのアクセス」などのデジタルな履歴と、「展示会で名刺交換」「インサイドセールスがフォロー」といったアナログな履歴をすべて統合して、顧客の「見える化」をはかります。マーケティングオートメーションについては、「マーケティングオートメーション(MA)とは?基礎知識やツールについてわかりやすく解説」で解説しているので参照してください。顧客情報の一元管理について、動画「BtoBマーケの仕組み化で失敗しない、顧客情報の一元管理術とは」でくわしく解説しているので、こちらも参考にしてください。【フェーズ3】顧客体験の構築を実践する基盤づくりのあとは、マーケティングDXの目的である「顧客体験の構築」を実践していきます。このフェーズではまず「現在までのマーケティング・プロセスの整理」を行います。今までに実施してきたマーケティング施策とその成果は企業固有の有用な資産です。マーケティングDX施策後も活用できるよう、購買ピラミッドを基に継続すべき既存の施策を整理します。成果があった施策を活用する一方で、顧客データ管理、各種メールの配信、効果測定などの業務を自動化することにより人的リソースに余裕が生まれ、新たな打ち手を追加していくことができます。このあといよいよマーケティングDXの施策を実践していきますが、具体的な手法については【後編】の記事「マーケティングDXとは?【後編】「顧客体験の構築」はウェビナーを軸に展開」でくわしく解説します。以上のように、マーケティングDXの施策は多岐にわたります。データクレンジングやフラグ付与などをエクセルなどで進めれば相当な手間がかかってしまいます。しかし、これらの作業のほとんどを専用デジタルツールであるMA(マーケティングオートメーション)で自動化できます。MAはマーケティングDX推進と、その後のマーケティング戦略の実践のために有効なツールです。MAについては、「マーケティングオートメーション(MA)とは?基礎知識やツールについてわかりやすく解説」でくわしく紹介しています。マーケティングDXで成果を上げた企業事例最後に、マーケティングDXで成果を上げた企業の事例をご紹介します。■株式会社幻冬舎ゴールドオンライン同社は月間1億5000万PVを超える富裕層向けのメディア「幻冬舎ゴールドオンライン」を運営し、富裕層向けのセミナー事業も展開しています。セミナー事業には会員獲得とクライアント企業のセミナー集客という2つの目的があります。MAの導入により事務局は工数を削減でき、一方で会員のデータを詳細に集計・分析してクライアント向けのビジネスに活用することが可能になりました。2020年のコロナ禍以降はリアルセミナーをウェビナーに切り替えて継続。配信を自動化することで年間500本以上のセミナーを実施して集客増に成功しました。MA連携により視聴した顧客への効果的なフォロー施策も継続しています。コロナ禍というネガティブ要因のもとでDXが促進された事例といえます。詳しくはこちらの事例記事「富裕層をターゲットに年間500回以上。土日出勤の大幅減とデータドリブンな企画を実現したセミナー管理とは」をご覧ください。■池田金属工業株式会社大阪に拠点を置くねじの卸売の老舗企業である同社は、コロナ禍以前は展示会出展やリアルセミナーによりマーケティング活動を展開していました。しかしコロナ禍で顧客との接点を持つことが難しくなった2020年、MAを導入。「顧客に有益な情報を届けて、顧客の課題を解決する」ことを目的とした施策を展開しました。過去のセミナー参加者、フォロー履歴などをMAに連携し、メルマガ配信、動画配信などのデジタル施策の履歴も一元管理。顧客とのコミュニケーションから生まれた新サービス「ねじの技術診断」も好調で、顧客視点に立ったマーケティングDXが結実しています。詳しくはこちらの事例記事「浪速の老舗ねじ商社が挑む”ゆるまない”DX推進」をご覧ください。■株式会社早稲田アカデミー首都圏において難関校への合格実績を誇る大手進学塾である同社。過去には集客のために定期開催するセミナーの受付やチケット発送などをアナログで行っていました。MAの導入によりセミナー管理のデジタル化を実現し、作業が軽減されるとともに集客状況をリアルタイムで把握できるようになり、業務の効率化により追加の施策を打つ余裕が生まれました。また、既存顧客である塾生、卒業生などを一元管理してMAと連携することにより、学年やコンタクト履歴でセグメントしたタイムリーなアプローチが可能になり、集客力向上につながっています。一連のデジタル化により、セミナー管理やメルマガ配信などの業務が効率化できミスが発生する心配も軽減されたことで、スタッフの時間的・精神的な負担が減り、働き方改革にも寄与しています。詳しくはこちらの事例記事「早稲田アカデミーの業務・集客効率を改善したイベント業務の新・オペレーション」をご覧ください。まとめ本稿のポイントは以下の3点です。1. マーケティングDXを「購買行動の変化に対応するために、顧客情報をデジタルで一元管理し、自社のマーケティング・プロセスを変革する。その上で最適な顧客体験を構築し、競争上の優位性を確立すること」と定義します。2. マーケティングDXが必要とされる背景に、購買行動の変化、顧客接点の増加、顧客情報の環境の変化があります。特に重要なのは購買行動の変化です。現在は自分で調べることが可能なので、企業と最初の接点を持つときに購入担当者の60%はすでに意思決定しているといわれています。3. マーケティングDXは以下のステップで進めます。【フェーズ1】課題を明確にして、組織を巻き込む【フェーズ2】顧客情報の一元管理により、マーケティングDXの基盤をつくる【フェーズ3】顧客体験の構築4. MAによりデータクレンジングや顧客情報の一元管理を効率化・自動化できます。関連資料このように、顧客情報の一元管理により、マーケティングDXの基盤をつくることが、マーケティングDXの顧客体験の構築の要であり、それを実現するのが、シャノンです。マーケティング・プロセスの変革に取り組まれているみなさまは、ぜひ資料をダウンロードください。最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。また、シャノンコンテンツアシスタントでは、主にセミナー集客メールのタイトルと内容、記事集客メールのタイトルと内容、記事本文の生成が可能です。⇒マーケティング専用生成AIクラウドのサービスサイトはこちら